2004年8月6日、デーネ・リン・スコットさんが「口話VS手話 わたしの学校での経験」を
講演していただいた。デーネさんは手話通訳訓練プログラムと ろう教育の指導者である。
彼女は3歳から13歳まで口話を学んだが、英語も数学もいくつかの一般的な教養コースもわからなかったので
挫折した。13歳の時にミシシッピ州のジャクソンろう学校に転校してから手話を初めて
見て、
自分の第一言語はアメリカ手話であると気づき、そしてアメリカ手話をすぐに覚え、英語を書いたり、
読んだりするなど、教育にすぐついていけるようになった。幼少時は家の中では発声訓練で発声の誤りを母親に直されていた。
健聴者と同じレベルでの会話を身につけさせたいという親の思いから。
日本のろう大人の幼少時代はアメリカと同様、発声訓練が重視されたが、上手に発声
できなく、また日本語の読み書きや学問を十分に身につけられなかったろう者がたくさんいる。
ろう者にとっては上手に発声できるのは
至難のわざである。
現在は日米とも言語の発達のために早期に人工内耳による刺激を開始すべきだという意見が多数で、
人工内耳の手術が増加し、普及している。
(健聴者社会に合わせた教育の延長)
人工内耳とは電子技術の進歩により音の振動を電気に変えて
直接内耳を刺激する装置である。耳の後ろに人工内耳装置を埋め込む手術を受けて、音入れする。
リハビリは3ヶ月かかるそう。
デーネさんはダウン症とろうの二重の障害を持つ子までに人工内耳の手術を受けさせたことは同情すると言っていた。
親の考えの押し付けは親から子に対する愛情?ろうの子供に合ったコミュニケーションを探すのは親の
役割。手話が必要なら両親が手話教室に通い、親子でコミュニケーションを図ることが重要だと強調していた。
人工内耳を勧めている聴覚障害者本人が人工内耳の手術を受けてないという矛盾があると日本から意見があった。
外から見ても分からない程整形のように人工内耳を埋め込む高い技術を持っているという中国の最新
情報。
最後に手話が好きだと締めくくり、手話によって顔が生き生きしている
デーネさん。ありがとうございました。
以下の表はデーネさんの講演を元にした、アメリカと日本の比較である。
日米の比較 | ||
---|---|---|
アメリカ | 日本 | |
発声訓練 | 羽根を利用。 | ティッシュペーパーを鼻に つけて息をする。 |
読み書き能力 | 弱い。動詞の間違いが多い。文法を知らない。 | アメリカと同じく弱い。助詞の間違い(てにをは)が多い。 日米とも読み書きが弱いので悔しがる気持ちが共通。 |
教育手段 | 手話が主流 | 口話から手話へ変換中 |
現在のろう教育 (幼稚部) |
最初に先生が手話表現。次に黒板に書かれた英語を見て理解。再び手話。そして読み書きを身につける。 | 発声訓練を最優先。 読み書きはなおざり。 |
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人工内耳の金額 | 手術・検査・リハビリ込総額500万。国民保険・社会保険がないので 自己負担。 |
300万(人工内耳セット)。 1994年4月から健康保険 適用(自己負担が少ない)が認められてから手術件数は急速に増加した。 |
人工内耳の患者 | 生後6ヶ月〜(親の考えで) | 2歳〜 |
手話は聴覚障害者にとって大切な言葉で、
大きな財産です。
2004年5月にウォルト・ディズニー・ワールドで体験したことを書き記します。ショーを見る時ハンディキャップ席が用意されていて、 外国人と一緒に観賞することになります。アメリカ手話を通して、外国人と交流できるのが楽しみです。家族連れの方が多いです。 ある娘さんは耳が不自由で、家族ぐるみでアメリカ手話を学び、手話によって心を通じ合わせていることを見て 私は羨ましく思いました。私の親は手話は恥ずかしいという理由で、手話を覚えようとしませんでした。 だから30年たっても親と通じ合えないのが寂しいです。
私は何気なくカナダのオタワ在住の耳が不自由な7歳の女の子に「ママはどこにいるの?」と たずねたら、彼女は「離婚したよ」と答えた。その女の子は語彙が豊かなので、ビックリ。 「Why?」とアメリカ手話で頻繁に理由を示す、7歳の女の子の知的な話し方は印象的でした。 私の7歳当時は手話が禁止されていたので、語彙は少なかった。発声訓練に多大な時間を 費やし、相手の言うことを読み取るのに苦労していました。手話はろう児の言葉の発達を促すのに大切な言葉だと痛感しました。 手話でコミュニケーションができることはすばらしい財産だと思います。
レストランでアメリカ手話が少しできるキャストと話していたら、他の外国人が手話を使う私たちを 感嘆の目で見ていました。さすが多言語共生社会のアメリカだと思いました。
一方、テーマパークや機内でも私たちをジロジロ見る日本人親子連れがいたことは残念です。たぶん聴覚障害者や手話に出会うのは 初めてでしょう。手話を使う、耳の聞こえる人までがジロジロ見られることはつらいです。日本の教育ではろう児をろう学校へと、ろう児を 隔離させた現実は手話を言語として認めるのを遅らせている理由の一つです。ジロジロ見られることなく 障害者と共生できる時代が来ることを期待しています。
下記新聞記事を見て、私はわが意を得たりと感じました。バリアフリー後進国の 日本では、やっとバリアフリー教育に取り組むようになる…嬉しいですね。
1年生になったら「バリアフリー教育」 小学校の教科書が、障害者や高齢者との共生 を意識的に取り上げる編集姿勢を鮮明にし始めた。 車いす、盲導犬…来春の小学校教科書に続々手話あいさつ、点字の五十音表も。点字に力を入れた国語の編集者は「コミュニケーションとしていろんな方法があることを知ってほしい。」と話している。東京新聞(夕刊)2004年4月6日号より
アメリカ手話の本の紹介
2004年5月22日にフリーアナウンサー松本真由美さんが出版されました。
週刊朝日2004年6月4日号ピカイチ本で紹介されました。
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手で話す英会話―コミュニケーション幅を広げるアメリカ手話(単語編)
松本さんのホームページの中のアメリカ手話単語5語が毎月更新されるそうです。ぜひご覧ください。
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